【3,金日成・金正日父子への信心】
 私は、朝鮮に来る前はてっきり、人々は金日成氏・金正日氏への尊敬や賞賛を義務づけられているのではないか、と思っていたが、それは誤りだった。
 大部分の人々は、金日成・金正日父子を心から尊敬・賛美していて、心の支えにしているのだった。
 多くの人々は故・金日成氏の顔写真が印刷してあるバッジを胸につけているのだが、義務ではなく、階級を示しているのでもなく、前述したように、任意でつけているのである。バッジは国民全員に配られているそうだ。
 故・金日成氏はいかに高潔な人物であるか、いかに朝鮮を愛し多大な貢献をしてこられたかを子供時代から教えられ、すっかりそれを信じて大人になっているのである。
 この小見出しを「金日成・金正日父子への信心」としたのは、金日成・金正日父子と民衆との関係が、まるで金日成・金正日宗教の教祖と信者のように思えたからである。
 ちなみに、「金正男氏は偉いのですか?」とガイドに尋ねると、「わかりません」と答えていた。
 社会主義国なので、人々は私有財産を得るために競争したり人を騙したり蹴り落としたりすることを知らず、純朴に金日成・金正日父子を信じて、真面目に働き、人生とはこんなものだとそれなりに満足して生活しているのだ。
 家族の間でも、金日成・金正日父子を批判する人はいない。 
 在日朝鮮人を妻に持つ朝鮮語翻訳家のY氏は、日本から帰国した朝鮮人が家族内で国家の幹部の行いに不満を漏らすことはあっても、金日成・金正日父子を批判することなど思いもよらない、と言っておられた。
 反国家の思想を持つと罰せられるせいか、日本にいるようなヤクザや暴力団は存在しない。
 そのため、治安は非常に良い。ガイドのキムさんは、「夜の10時ごろ女性が一人外を出歩いても、襲ったり、ひったくりをしたり恐喝する奴なんてまずいませんよ。安心してください。治安は世界一良いですよ」と言っていた。
 朝鮮で、麻薬をしたり、麻薬の売買をする人はいないが、国家が麻薬の取引をしているという明暗のはっきりとした国だ。
 まあ、それだけ貧しい国だということなのだろう。
故・金日成主席を称えるバッジ。 故・金日成主席を称える看板がいたるところに掲げてある。
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4.万景台(マンギョンデ)の生家