【11,6月9日第一中学校】
 朝鮮全国から優秀な生徒を集めたエリート中学校。
 授業は朝8時〜2時までで、2時からは課外授業が行われる。課外授業では、生物、化学、スポーツ、歌、踊りを習う。
 全生徒750人、教師450人。1クラスは30人。
 入り口に、故・金日成主席と金正日総書記が新幹線のそばで子供たちと戯れている大きな絵画があった。
 私たちが教室に入ると、先生が合図をしたのか生徒たちが一斉に拍手をした。
 生徒たちは、生物の課外授業でジャガイモの研究をしていた。拍手が終わると、すぐに顕微鏡を見て勉強を続ける。
 彼らは全員12才だが、外国人に無邪気な好奇心を持ってこちらを見たり話しかけたりすることはなかった。
 私は途中トイレに行ったのだが、廊下で子供たちとすれ違っても彼らはこちらをあまり見ることもなく無表情だった。(学校見学にくる外国人に慣れているからだろうか)
 連れの観光客も次のように言っていた。「写真を撮るためにカメラを向けてチーズと言ったら、こちらに向かって笑顔を見せるのだけど、撮影に失敗した途端、笑顔が消失し再び勉強に戻る」
 不思議な気持ちがしたが、日本の都会の進学校もこういった感じだろうか。
 別な教室では、私たちが団体で入ってきたことには生徒たちは見向きもせず、前を向いて同級生が発表している話に熱心に耳を傾けていた。
 生物資料室には、朝鮮の自然の中で生きている鳥獣の剥製が沢山並んでいた。
 どの教室にも、故・金日成主席と金正日総書記の肖像画が掲げてあった。
 校庭を歩いて別校舎の教室に入ると、色とりどりの衣装を身にまとった女の子たちが舞台に立ち、楽器を手に持って私たちを迎えてくれた。
 歌や踊りを披露してくれて、楽しかった。その歌もやはり、金日成・金正日父子を讃える歌詞だった。しかし、日本のテレビが伝えていたような、舞台で天才的な技能を発揮する子供たちの「作り笑い」は感じられなかった。日本人が舞台に立つ時の「作り笑い」と同じ程度である。
 最後には、女の子たちと手をつないでみんなで輪になって踊った。
 私と組んだ女の子は、音楽と踊りが終わっても私の手を離そうとしなかった。何かを話したいが言葉が通じない、でももっと一緒にいたい、というはにかんだような笑顔で私を見つめて、ずっと私の手を両手で持ったままゆらゆらと揺らしていた。
 私は通訳を通して聞いた。
「学校は楽しいですか?」
「はい、楽しいです」と女の子は明るく答えた。
「日本をどう思いますか?」
「今は難しい時期だけど、気持ちは日本人と仲良くしたいです」
「将来の夢は何ですか?」
「歌手になることです」
 彼女はずっと私の手を握っていたが、もうお別れの時間がきた。
 私たち団体が教室を出て行くのを、彼女たちは「ありがとう」「ありがとう」と日本語で何度も言いながら名残惜しそうに見送ってくれた。その後、校長先生と会い、私たちに「本日はありがとうございました。またいらしてくださいね」と通訳を通しておっしゃっていた。
6月9日第一中学校 玄関に飾ってある絵画
金日成・金正日父子が子供たちと戯れている。
私たちに注意を払わない勉強熱心な生徒たち 同級生の発表を熱心に聞いている生徒たち
真正面には金日成・金正日父子の肖像画がある。
剥製室
ここにも金日成・金正日父子を称える絵画があった。
女生徒たちが踊りを披露
最後に、私たちと一緒に踊り交流をした。 校長先生とお会いした。

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12.犬肉(タンコギ)