第1日目 12月3日(水)

【1,平壌(ピョンヤン)到着】
 夜、ようやく平壌(ピョンヤン)に到着した。とても寒く、気温はマイナス4℃。朝夕の気温の差が激しく、厳冬期にはマイナス20℃以下にもなるという。
 空港では、黒い毛皮風の帽子を被り、膝下までの紺色のコートを着た女性や軍服みたいな制服を着た男性の職員たちが働いていた。
 働く男女の比率は同じぐらいで、北朝鮮の女性は出産後も子供を託児所に預け男性と同じように働く。
 どの職業も、一日の労働時間は8時間で、土曜日は午前中まで働き、午後の2時間は職場での勉強時間となっている。職業はある年齢になると自分の希望する仕事を国に伝え、その後に国から適切な仕事を与えられるそうだ。市民の希望はある程度叶えられ、私たちのガイドも満足しているようだった。やはり能力と適性がないと、自分の希望する仕事と国から与えられる仕事が一致しないらしい。
 定年は男性は60才、女性は55才である。
 空港や店の女性職員は丁寧にお化粧をしていて、肌つやも良く、明るい表情をしていて、ひもじい暮らしをしているとは思えない。ガイドの話によると、前述したように、食料は不足しているが、平壌では普通の生活水準が保たれているそうだ。
 電力事情は悪く、市民の住宅では1日に2回は停電するそうだ(それでも最近は電力事情が以前よりは良くなったと言っていた)。空港やレストランや店など、節電のためか、夜の照明はいつも暗めだった。
 あまり待つことなく税関を通り抜けて外に出ると、私たちの観光バスが待っていた。
 このツアーには、10人の旅行者が参加していて、2人のガイド、添乗員、カメラマン、運転手の計5人が付き添う。そのうち4人は現地の北朝鮮人だ。1人は在日北朝鮮人の添乗員で関西空港から私たちに付き添っていた。全員、キムさんという名前だった。2人のガイドのうち、50才ぐらいの痩せたキムさんが主に説明をしていた。
 バスの中で、キムさんは次のように言われた。
「日本と朝鮮の関係は、政治的にとても厳しい状況になっています。でも私たち朝鮮人は本当は日本と仲良くしたい。朝鮮のことをもっとよく知ってもらいたい。ですから、このような観光ツアーによって、民間レベルから交流をしていきたいのです。どうぞよろしくお願いいたします」
 現地では、北朝鮮という言葉は使わない。共和国、もしくは朝鮮と呼ぶので、今後は、朝鮮と表記することにする。
 夕食は、清流食堂で「チョンゴル」を食べた。ふつうの味。パンはかためで今ひとつ。
 建物内は、うす暗く寒く閑散としていて土産を売っている店にもお客がいなかったが、料理が並んでいる部屋は暖かく照明がありレストランらしい雰囲気だった。
 ツアーに参加した人々の職業は、看護婦、京都大学の先生、弁護士の卵、公務員など様々で、メディアでいろいろと北朝鮮のニュースが流れているが、実際の姿はどうなのだろう、と興味と好奇心を持って参加されていた。
 自由行動ができないので、朝鮮の実情をはっきりと知るわけにはいかないが、何かを肌で感じることはできるだろう。
 宿泊ホテルは、羊角島(ヤンガクド)ホテル。47階建ての最新式ホテルで、サウナ、ボーリング場、ビリヤード場、カジノ、プール、お土産店があったが、お客は少なく閑散としていた。中洲にあるために、周りにはゴルフ場があるだけで殺風景だった。
 1階に本屋があり、日本語で書かれた北朝鮮についての本が沢山売られていた。朝鮮観光案内の本や政治・社会・民俗についての本、民話などがあった。
 最上階は展望回転レストランになっていたが、やはりお客が少なく、誰もいない空間の向こうに平壌の夜景が見えた。
 ホテル周辺には広いミニゴルフ場もあったが、一人もいない。今はオフシーズンなのだ。三日目にはうっすらと雪がかかっていた。
 室内は、日本の一流ホテル並で、水回りも良かった。テレビでは衛星放送を見ることができて、日本のNHKニュースもやっていた。しかし朝鮮の市民は、衛星放送を見ることはできない。国家幹部は、衛星放送で日本のテレビ番組を見て情報を得ているのだろうが。エレベーターは古くさく、時々故障しているようだった。
 日本までの国際電話は、1分500円ぐらいだった。
 私たち外国人は、ホテルの中にある店や外国人向けの高い商品しか置いていない店にしか行けない。朝鮮人参を買おうと思ったが7000円もしたのであきらめた。コートは3000円ぐらいだったが、中には13000円のコートもあり、化粧品、お酒、お菓子などの価格も日本と同じぐらいだった。
 お金の単位はウォン。100円は125ウォン。値札には、ウォンとユーロで表示してあるが、日本円も使える。
平壌空港(夜に到着した。この写真は帰国時に撮ったもの)
清流食堂 チョンゴル
47階建ての羊角島(ヤンガクド)ホテル
ホテルの最上階の展望回転レストラン
閑散とした売店 羊角島ホテルの周りは殺風景
(翌朝はうっすら雪がかかっていた)

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