第3日目 12月5日(金)

【13,痩せた穀倉地帯と禿山】
 朝食はおかゆ。外を見るとうっすらと雪が降っていた。いよいよ板門店(パンムンジョム)・開城(ケソン)に向かう。板門店・開城に行く途中は穀倉地帯だが、土地は痩せていて禿山が多かった。なぜ土地が痩せているのかというと、朝鮮では1990年代のはじめから1999年まで大きな危機があった。干魃や大洪水などの自然災害や、旧ソ連や他の東欧諸国の共産圏崩壊による経済困窮である。90年代はじめに旧ソ連などの共産圏が崩壊したため物物交換からドル決済になったためや、中国の食糧自給体制の転換によって、それまで両国によって行われていた北朝鮮への大量の食糧・エネルギー援助が激減した。
 そのため、5百万人ともいわれる餓死者が出た。
 ガイドは次のように言っていた。「朝鮮は生き延びるために、もともと農業には向いていない土地に絶え間なく穀物を植え栽培しました。土地は収穫後2年間の休みを置かなくていけなかったのだが、食糧不足のために休みを置かずに穀物を栽培し続け、その結果、土地は痩せてますます農業には向かない土地になってしまいました。山の木を伐採してそのまま放置していたのも、後生にも悪影響を及ぼしています。これは私たちの罪であったと反省しております。米の栽培が十分にできないので、トウモロコシを主食にしようと栽培しましたが成功はしませんでした。自給自足は難しいです。現在では、米の他、ジャガイモの生産に力を入れ、なんとか主食にしようと研究しています」
 もともと朝鮮は大部分(80%と言っていた)が山岳地帯であり、農耕には向いていなかった。しかし食糧を得るため、1987年から山を切り開き田畑を作り出した。山の木を切ると洪水が起こりやすくなる。洪水によって農地が破壊され、ダムが土砂で埋まり、食糧不足と電力不足が起こる。冬は厳寒なので山の木を切り薪にする、といった悪循環が繰り返された。
 また、原油の輸入元であった旧ソ連が90年に崩壊して、発電の原材料が不足したことも大きく影響している。金正日は水力発電所の建設を推し進めたが、冬になると凍結して稼働しなくなり、停電が多くなる。
 在日朝鮮人を妻に持つ朝鮮語翻訳家のY氏によると、朝鮮半島が北と南に分断されてしまっていることが朝鮮にとって極めて不自然であり、そのため自立が困難になっている、南北が一体になってはじめて人々が十分にエネルギー・食糧を得て暮らしていける環境になるのだ、とおっしゃっていた。
 板門店・開城(ケソン)までの道には、褐色の田園地帯や禿山が続く。
 しかし道路脇に街路樹が植えられていて景観は良かった。
 途中で水穀(スゴク)休憩所で休憩した。トイレは、洋式の水洗便所だった。旅行中どこに行っても、トイレは洋式の水洗便所だった。
うっすらと雪が降っていた。 痩せた穀倉地帯
痩せた穀倉地帯 水穀(スゴク)休憩所
休憩所の上から 禿山
板門店・開城に近くなると、家の連なりが見えてくる。左は、トラックの荷台に乗って人々が移動しているところ。

13/19

14.板門店(パンムンジョム)